睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)とは

睡眠中に10秒間の呼吸停止が1時間あたり5回以上ある病態をいいます。
5〜15回を軽症、15〜30回を中等度、30回以上を重症とし、以下の3つに分類されます。

  • 閉塞型
    舌の沈下、アデノイド、口蓋扁桃肥大、鼻炎、鼻中隔湾曲症や鼻腔・咽頭部の形態異常に
    よる物理的閉塞による気流停止
  • 混合型
    脳や伝達系に異常があり、呼吸筋自体が停止している状態
  • 混合型
    閉塞型+中枢型

寝ているときに、舌や喉の粘膜によって気道が塞がれてしまうことで起こる病態であり、本人が気付くことは難しいため、寝息を録音してみると分かりやすいです。
また、眠時無呼吸症候群の多くは閉塞型であり、マウスピース治療対象は閉塞型に限られます。

症状

寝ているとき
・大きないびき
・呼吸が止まっていることを指摘される
・寝返りが多い
・途中で目が覚めやすい、頻尿

起きているとき
・起床時の口の渇き、頭痛
・日中の眠気
・疲労感、だるさ
・集中力の低下
・動作時の息切れ

全身への影響
息が止まるたびに血圧が上がり血管に負担をかけるため、虚血性心疾患や脳卒中などを引き起こす可能性があります。

原因・起きやすい状態

身体的要因
・肥満、猪首
・顎が小さい、舌が大きい
・アデノイド、口蓋扁桃肥大、鼻炎
・鼻中隔湾曲症などの鼻腔・咽頭部の形態異常
男性の方が多く、小児にもみられることもあります。

修飾的要因
・仰向けで寝る
・お酒、睡眠導入剤
・老化による機能低下

マウスピース治療とは

睡眠時に下顎を前に出すように調整した上下一体型のマウスピースを装着することで、舌の沈下を防ぎ、呼吸をしやすくするものです。睡眠時のみ装着し、つけ外しが可能です。
軽度〜中等度の患者さんが適応となり、重度の場合はCPAP療法などの内科的治療の適応となります。

マウスピース治療の流れ

医科の先生(呼吸器内科や耳鼻咽喉科など)より、睡眠時無呼吸症候群と診断され、紹介状がある場合のみ保険での診療が可能となります。

負担率にもよりますが、装置自体に約2500〜7500円の費用がかかります。
睡眠時無呼吸症候群と診断されなかったり、紹介状がない場合は自費診療となります。

① 初診・再診

問診や口腔内の視診・触診を行い、必要に応じて虫歯や歯周病などの一般的検査やレントゲン撮影を行います。紹介状の確認も併せて行います。

② 型取り

上顎と下顎の歯型と、噛み合わせの型をとり、技工士さんにマウスピースを作製してもらいます。出来上がりまで日数がかかることがあります。

③ マウスピースの調整・お渡し

上下別々に作製したマウスピースを、口腔内で調整し、下顎を前に出した状態で接着します。取り外しの練習や使用法・保管法の説明を行います。

④ 経過観察とメンテナンス

症状や経過によって、マウスピースの位置調整や再作製を行います。口腔内のメンテナンスも お勧めします。